佐藤長明 Nagaaki Sato
1969年、宮城県南三陸町生まれ。23歳でスキューバダイビングと出会い、翌年から水中写真を始める。2000年にダイビングサービスグラントスカルピンを設立。親潮の恵みを受ける宮城県南三陸町志津川湾の海を広く国内に紹介。自ら撮影するクオリティの高い写真によって、生態観察と撮影の楽しさを広めている北の海の伝道師。東日本大震災により2011年から北海道函館で活動を開始する。震災から8年を経た2018年、宮城・南三陸志津川湾でも活動を再開する。
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・公式Facebook
南三陸と北海道・函館を拠点に、北の海の魅力を紹介している佐藤長明さんは、Nauticamの日本国内販売がスタートしたときからテストカメラマンとして関わってきた1人。自らもコンバージョンレンズを駆使して、貴重な生態やアート作品のようなマクロ写真を発表しています。
カメラをそのまま操作しているような感覚
一番評価しているのは、ゆるぎない操作性です。その細やかさには本当に驚きます。多くのパーツを組み立てて操作性能を上げる構造は、それまでのハウジングにはなかったもので、水中という特別な環境下でも、指に馴染む。ボタンが確実に押せる。フィット感がある。ハウジングに入れて操作しているのに、カメラ本体をそのまま水の中で扱っているような感覚で撮影ができます。
企業努力を感じる10年間の進化
10年以上Nauticamハウジングを使っていますが、新機種が出るたびに新しい装備が加わっていたり、操作性を向上させる工夫が施されています。企業努力を感じますね。とくに、ハウジングの水没を予防できる「NA バキュームリークセンサー」は画期的でした。ほかにも光ファイバーシステムの工夫や細かなボタン操作など、細かな進化はあげたらきりがないほどです。当初は「重い」と評されたボディも、素材や肉厚の工夫で軽量化が図られたようで、最新機種は他社製品と比べて際立って重いということはありません。
1度使ったらやめられない”悪魔のレンズ”
Nauticam社は、ハウジングだけでなくレンズ開発にも秀でています。
四隅まで歪みが出ないスーパーマクロコンバージョンレンズ(SMC-1、SMC-2)は衝撃でしたね。コンバージョンレンズは周囲が歪むため、フルサイズで撮影しても作品として使えるのは中央の部分だけでしたが、このレンズで撮影した写真は画面すべてが使える。しかもボケ味が美しい。他のレンズでは表現できない写真を撮ることができます。1度使ったら、もう元には戻れないレンズですよ。
レンズの設計を行っているNauticam社の社長は、創業後、イギリスとフロリダのレンズ設計専門機関で光学設計を学び、ここ数年、ワイドコンバージョンレンズやマクロコンバージョンレンズを次々に発売しています。中には、NA マクロワイドコンバージョンレンズ EMWLのように特殊で高額な製品もあります。一般ダイバー向けとは言えない製品ですが、あのレンズを使わなければ撮れない作品は、仕事として撮影する人間は惹かれますね。
WORKS
日本に広く分布しているカサガイの仲間。この写真のカサガイは「ベッコウシロガイ」という種で、函館など寒冷なエリアに生息しています。普段は地味な貝ですが、繁殖時に興味深い行動をします。年に1度だけ、いや、年に30分だけ雌雄が立ち上がり放精と放卵を行うのです。写真はメスの放卵の様子です。
・ハウジング:NA D850
・カメラ:Nikon D850
・レンズ:Nikon AF-S VR Micro Nikkor 105mmF2.8G IF-ED
ミズダコは世界最大のタコで別名「デビルフィッシュ」とも呼ばれます。足を広げるとそのサイズは5mにも達します。しかし、そんな巨大ダコも小さいころは非常にかわいく、そして美しい姿をしています。写真は体長3cmほどの稚ダコの吸盤です。透明感が強く、そこにさまざまな色素が透けて現れています。倍率4倍の外付けレンズあっての写真です。
・ハウジング:NA D850
・カメラ:Nikon D850
・レンズ:Nikon AF-S VR Micro Nikkor 105mmF2.8G IF-ED
スーパーマクロコンバージョンレンズ SMC-2使用
「流氷の天使」の名で知られるクリオネです。かわいらしいのですが実は手強い被写体です。大きさは1.5cm程度。しかも、上下左右自在に泳ぎ回るため理想とする瞬間を収めることは困難です。
この写真は被写界深度が深く画角130度のレンズを使用して、少し遠目の距離から被写体を捉え、徐々に理想の画角に近づきシャッターを切っています。その間、オートフォーカスで追い続けられるパフォーマンスがあってこそ撮影できた1枚です。
・ハウジング:NA D850
・カメラ:Nikon D850
・レンズ:Nikon AF-S VR Micro Nikkor 105mmF2.8G IF-ED
NA マクロワイドコンバージョンレンズ EMWL オブジェクトレンズ130°使用
MATERIALS
佐藤長明さん愛用Nauticam
NA D850 for Nikon D850
ハウジング | 10414 | NA D850 |
ポート | 20219 | NAマクロポート N60G |
オプション | 21008 | NA スーパービューファインダー45 II |
20872 | NA バキュームバルブII M16 |
*105mm(AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F2.8G IF-ED)撮影時は、NAマクロポートN105VRを使用
NA R5 for Canon EOS R5
8K動画撮影の目的で導入。EF 28-80mmにx0.36を組み合わせたセットで撮影した動画のキレの良さには驚いたという
ハウジング | 10488 | NA R5 |
10453 | NA Atomos Ninja V | |
21050 | NA ワイドアングルコンバージョンポートx0.36 |
*モニタは、ATOMOS NINJA V
*マクロ撮影時、①100mm(Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM)はNA マクロポートC100IS+ NA スーパーマクロコンバージョンレンズ SMC-1 & SMC-2を使用、②35mm(Canon RF35mm F1.8 MACRO IS STM)はNA エクステンションリング10&NA マクロポート12+ NA マクロワイドコンバージョンレンズ MWL-1を使用
NA スーパーマクロコンバージョンレンズ SMC-1
SMC-2
レンズ | 20618 | NA スーパーマクロコンバージョンレンズ SMC-1 |
20992 | NA スーパーマクロコンバージョンレンズ SMC-2 |
NA マクロワイドコンバージョンレンズ MWL-1
レンズ | 21054 | NA マクロワイドコンバージョンレンズ MWL-1 |
NA ワイドアングルコンバージョンポートx0.36
レンズ | 21050 | NA ワイドアングルコンバージョンポートX0.36 |
写真は、浮力調整用のフロート(付属品)を装着した状態