Optic Lens Guide

マクロレンズでいくかワイドにするか、途中でレンズ交換ができない水中撮影ではレンズ選択は重大問題。「悩ましいなら、1台のハウジングでマクロもスーパーワイドも撮れるシステムにすればいい‥」。そんな大胆な発想で開発されたのが、マクロレンズ用のワイドコンバージョンレンズ「NA マクロワイドコンバージョンレンズ MWL-1(以下MWL-1)」です。水中写真家・上出俊作さんのインプレッションを交えてその性能と魅力を詳しく紹介しましょう。 


INDEX


スーパーワイドの世界観を楽しむ

 
●撮影データ f13 1/250秒 ISO500 水深12m 被写体までの距離:約1.5m

■上出コメント■
イソバナにスカシテンジクダイとキンメモドキが群れていました。捕食者であるユカタハタが小魚に突っ込む瞬間を狙ってシャッターを切りました。 MWL-1はフィッシュアイレンズに近い画角・描写のため、被写体にグッと寄ることで、パースを強調した臨場感のある画作りができました。 MWL-1を装着しても、60mmマクロの「爆速」と言われているAFスピードはほぼ変わらず、瞬時にピントを合わせられたので一瞬のシャッターチャンスを逃さず撮影できました。
●撮影データ f13 1/500秒 ISO1800 水深0m(水面から撮影) 被写体までの距離:約2m 

■上出コメント■
ダイビングの合間に、サンゴがきれいなポイントがあるということで、スノーケリングで撮影させてもらいました。根をびっしりとサンゴが覆っていたため、根の全体像がわかるようなアングルで撮影しました。 お天気は曇り。光は入っていませんでしたが、RAW現像で色は再現できたので、MWL-1と60mmマクロの発色相性は悪くないように感じました。

NA マクロワイドコンバージョンレンズ MWL-1
 
ミラーレス一眼、フルサイズ一眼レフカメラで使用できる高画質のワイドコンバージョンレンズです。30〜60mmクラスのマクロレンズに取り付けると、約115〜150°の超ワイド撮影が可能になります。

MWL-1は、マクロポートの先端に取り付けて使用します。
バヨネットマウント式なので、水中でも素早く着脱が可能です
長さは12cm、負荷にならないサイズ感です
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●注目ポイント徹底紹介

POINT1 スーパーワイドとマクロ、同じ被写体を2ウエイで攻める!

MWL-1を使えば、同じ被写体をワイドとマクロの両方で無理なく攻めることができます。目指すエリアに到着したら、まずはMWL-1を装着してワイドで。MWL-1を取り付けることで、60mmマクロのレンズがワイド仕様に。最大画角約150度のスーパーワイド撮影が可能になります。生き物たちが暮らす生息環境やワイドの気持ちいい海の風景などを抑えたら、次はマクロの世界です。MWL-1を取り外して、自分自身の思考も狙いもシフトチェンジ!生き物たちをクローズアップでじっくり狙いましょう。
ワイドだけマクロだけと限定してしまうのがもったいないシチュエーションで、威力を発揮するのがMWL-1です。

●撮影データ f14 1/250秒 ISO640 水深18m 被写体までの距離:約80cm
●撮影データ f4 1/250秒  ISO125 水深18m 被写体までの距離:約15cm

■上出コメント■
イソバナに小魚が群れるシチュエーションは、ワイドでもマクロでも魅力的な被写体。ワイド撮影では、圧倒的な魚の多さと、群れの統一された動きの美しさを切り取ろうと撮影しました。ファインダーを覗いている感覚が普段使っているフィッシュアイレンズと変わらなかったので、ストレスなく撮影できました。 マクロ撮影では、小魚の玉ボケとイソバナの鮮やかな赤を背景に入れて画作りをしています。 こういった環境ではついついワイド撮影用のレンズを選択してしまいますが、水中でレンズの着脱が可能なため、贅沢な環境でマクロ撮影ができました。 現場は潮の流れが速く身体を安定させるのにもひと苦労でしたが、バヨネットシステムでレンズ着脱が簡単だったことで助かりました。


POINT2 1ダイブでマクロもワイドも撮れるから、チャンスを逃さない

海中の出会いは一期一会です。「今日はマクロ」と決めて潜った日に、マクロレンズの画角には収まりきらないビッグな生き物と遭遇するかもしれません。予想を覆す透明度のよさでワイドで撮りたくなるかもしれません。逆に、「マクロを持ってくればよかった、、」と思うような小さなアイドル生物に行き当たることだってありえます。 高画質を約束するワイドコンバージョンレンズがMWL-1。「証拠写真」ではなく「作品」としてマクロもワイドをきちんと撮れる、1ダイブでマクロ狙いワイド狙い、両方を無理なく楽しめます。

●撮影データ f13 1/250秒 ISO500 水深12m 被写体までの距離:約1.5m

俯瞰で、砂地にポツンと位置するサンゴの根を狙う上出さん。狙いはワイド、MWL-1が威力を発揮します

●撮影データ f6.3 1/250秒 ISO64 水深12m 被写体までの距離:約10cm
マクロレンズでじっくり撮影中の上出さん
下の赤丸が被写体です

■上出コメント■
慶良間らしい光景をワイドで切り取ろうと、海・砂地・根のバランスを考えて撮影しました。 根の周りをグルグル泳ぎ回り、彩りが豊かに見えそうな場所から、魚の動きがまとまるのを待ってシャッターを切っています。 MWL-1は思っていた以上に小型軽量で、機動性に優れているため、持ちながらの移動も苦になりませんでした。 納得できる写真が早めに撮れたので、後半はマクロ撮影に時間を費やすことに。〈ダイブイン浜〉のガイド宮平洋一さんが、根のすぐ近くの砂地でツマジロオコゼの幼魚を見つけてくれたので、逃げる被写体に苦戦しながらもじっくり撮影しました。


POINT3 バヨネット式で、水中の取り付けもシンプル簡単

MWL-1は、水中でも簡単に取り付け取り外しができるので、セッティングのストレスがありません。装着はバヨネット式だから、ワンタッチ。ねじ込み式と違って潮の流れがあったり体勢が不安定な状況でも苦労せずに操作できます。慣れれば取り付けは10秒もかかりません。臨機応変に、撮りたい被写体やシーンに合わせて、マクロにするかスーパーワイドにするか選択できるので撮影の幅が広がります。

Step1
MWL-1を用意する
Step2

バヨネットマウントなのでワンタッチ
Step3

そのまま撮影へ

POINT4 ハウジング1台でOKだから、装備はコンパクト

MWL-1は、マクロレンズ仕様のハウジングをスーパーワイド仕様に変身させる夢のようなコンバージョンレンズです。 プロも認める高画質のMWL-1があれば、マクロ用とワイド用、ハウジングの2台持ちは不要。1台のハウジングでどちらもカバーしますから、装備はコンパクトです。水中の負荷は最低限ですし、家から海辺までのパッキングや荷物移動でもかさばりません。

カメラ1台、マクロレンズ1本、ハウジング1台、ポート1つ、ライティングシステム1セット。これにMWL-1で、機材準備は完了です

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●上出俊作のインプレッション

日ごろは、マクロ用(マクロレンズ仕様)とワイド用(フィッシュアイレンズ仕様)のハウジング2台持ちで撮影活動を行っている水中写真家の上出俊作さんに、MWL-1のテスト撮影をお願いしました。画角や画質の印象はどうだったのか、聞きました。
 
●画角●
「MWL-1の画角はフィッシュアイレンズの画角に比べると、若干狭くなっています。このことは、2つの意味で使いやすいと言えます。 ひとつ目は、被写体と少し距離を取れるということ。距離をとっても被写体が小さくなりすぎないので、ライティングがしやすくなります。下のリュウキュウキッカサンゴの作例も ストロボで撮影していますが、被写体から少しだけ離れることで、サンゴの群生全体に光を回すことができました。フィッシュアイレンズで被写体に触れるくらい寄ってしまうと、このように光を全体に回すことが難しくなります。
ふたつ目は、余計な部分を画面に入れずに済むということ。 このリュウキュウキッカサンゴは、群生とは言え、周りは岩肌が露出している部分も多く、フィッシュアイレンズで撮影したら、少し寂しい光景になっていたはずですが、MWL-1の画角だと、ちょうどサンゴの密度が高い部分だけを切り取ることができました。こういったケースは意外と多いし、余計な部分を写さなくて済むことで、画作りが容易になるように感じました」
 
●画質●
「水中で着脱可能なワイドコンバージョンレンズという範疇で、これだけの高画質は想像以上でした。f11以上に絞れば、高い解像度と十分な被写界深度を確保できるので、これなら作品としても通用するなという印象です。今回紹介した作例はすべてNA D850 for Nikon D850、レンズは60mmマクロを使用し、f値はf11以上で撮影しています。個人的には絞りについては、f16以上に絞れればさらにいいだろうと思いました」

●上出さん撮影の作例写真の使用機材(すべて共通)
・ハウジング NA D850 for Nikon D850
・ポート NA マクロポート N60G/NA バヨネットM67アダプターII
・レンズ Nikon AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED

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●f値コントロールで作品作りを

ワイドコンバージョンレンズで気がかりとされることが多いのが「周辺部の流れ」です。かつての水中ワイドコンバージョンレンズは「中央部分しかピントが合わない」などと揶揄されるほどでしたが、レンズ特性を研究、光学収差を詳細に解析して設計されたMWL-1は、その弱点を極限まで解消しました。 周辺部が流れるのは、中央に比べて距離が離れるため。ピントが合う面が狭い(被写界深度が浅い)と、その影響を受けやすくなります。四隅を意識した絵作り・作品作りを目指すならf11以上の撮影を心がけましょう。

f16

f11

f8

f5.6

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セッティングガイド

MWL-1はバヨネット仕様です。M67マウントのレンズポートを、MWL-1付属の「バヨネット-M67アダプターリング」で、NAバヨネットマウントに変換しましょう。リングを取り付ければ、準備完了です。

 

よくある質問


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